民法

◎	質権に関する次のアからオまでの各記述のうち，判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは，後記１から５までのうちどれか。 (L0113) 【質　権】 **
ア	債権質の質権者は，質権の目的が金銭債権でない場合，これを直接に取り立てることはできない。誤り。 (L0113A) 《直接取立》　債権質の質権者は，質権の目的が金銭債権でない場合，これを直接に取り立てることが［できる］（民法366条1項）。 (L0113A) 《直接取立》 ※←　質権者は，質権の目的である債権を直接に取り立てることができる（民法366条1項）。 ※←　（最判昭平）。
イ	動産質権者は，質物から生ずる果実を収取し，他の債権者に優先して被担保債権の弁済に充当することができる。正しい。 (L0113B) 《果実の収取》　動産質権者は，質物から生ずる果実を収取し，他の債権者に優先して被担保債権の弁済に充当することができる（民法350条、297条1項）。 (L0113B) 《弁済充当》 ※←　第296条から第300条まで及び第304条の規定は，質権について準用する（民法350条）。 ※←　留置権者は，留置物から生ずる果実を収取し，他の債権者に先立って，これを自己の債権の弁済に充当することができる（民法297条1項）。 ※←　（最判昭平）。
ウ	質権者は，質権設定者の承諾を得なければ，自己の債務の担保として質物をさらに質入れすることはできない。誤り。 (L0113C) 《責任転質》　質権者は，質権設定者の承諾を［得なくても］，自己の債務の担保として質物をさらに質入れすることが［できる］（民法348条前）。 (L0113C) 《責任転質》 ※←　質権者は，その権利の存続期間内において，自己の責任で，質物について，転質をすることができる。この場合において，転質をしたことによって生じた損失については，不可抗力によるものであっても，その責任を負う（民法348条前）。 ※←　（大刑連決大14.7.14）。
エ	質権は，設定行為に定めがないときは，質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保しない。誤り。 (L0113D) 《被担保債権の範囲》　質権は，設定行為に定めがないとき，質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を［担保する］（民法346条本）。 (L0113D) 《被担保債権の範囲》 ※←　質権は，元本，利息，違約金，質権の実行の費用，質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし，設定行為に別段の定めがあるときは，この限りでない（民法346条本）。 ※←　（最判昭平）。
オ	Ａは，Ｂに対して有する債権を担保するために，ＢがＡに対して有する債権を目的として質権の設定を受けることができる。正しい。 (L0113E) 《債権質》　Ａは，Ｂに対して有する債権を担保するために，ＢがＡに対して有する債権を目的として質権の設定を受けることができる（民法362条1項）。 (L0113E) 《債権質》 ※←　質権は，財産権をその目的とすることができる（民法362条1項）。 ※←　（最判昭平）。
	１　アウ　　　　　２　アエ　　　　　３　イウ　　　　　４○イオ　　　　　５　エオ