民法

◎	任意代理に関する次のアからオまでの各記述のうち，誤っているものを組み合わせたものは，後記１から５までのうちどれか。 (3004) 【任意代理】 **
ア	特定の法律行為をすることを委託された代理人が本人の指図に従ってその行為をした場合，本人は，自ら過失によって知らなかった事情について代理人が過失なく知らなかったことを主張することができない。正しい。 (3004A) 《本人の指図》　特定の法律行為をすることを委託された【代理人】が本人の指図に従ってその行為をした場合，本人は，自ら過失によって知らなかった事情について代理人が過失なく知らなかったことを主張することができない（民法101条3項但）。 (3004A) 《本人の指図》 ※←　特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは，本人は，自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても，同様とする（民法101条3項但）。 ※←　（最判昭平）。
イ	権限の定めのない代理人は，保存行為をする権限のみを有する。誤り。 (3004B) 《代理権の範囲》　権限の定めのない【代理人】は，保存行為をする権限のみを有する［訳ではない］（民法103条2号）。 (3004B) 《代理権の範囲》 ※←　権限の定めのない【代理人】は，次に掲げる行為のみをする権限を有する（民法103条）。 ① 保存行為 ② 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において，その利用又は改良を目的とする行為 ※←　（最判昭平）。
ウ	代理人が相手方と通謀して売買契約の締結を仮装した場合，相手方は，本人がその通謀虚偽表示を知っていたか否かにかかわらず，当該売買契約の無効を主張することができる。正しい。 (3004C) 《仮装譲渡》　【代理人】が相手方と通謀して売買契約の締結を仮装した場合，相手方は，本人がその通謀虚偽表示を知っていたか否かにかかわらず，当該売買契約の無効を主張することができる（民法94条2項）（大判昭16.8.30）。 (3004C) 《仮装譲渡》 ※←　前項の規定による意思表示の無効は，善意の第三者に対抗することができない（民法94条2項）。 ※←　本人は、通謀虚偽表示による意思表示を前提して利害関係を有するに至った者ではないので、民法94条2項の第三者に当たらない（大判昭16.8.30）。
エ	代理人が保佐開始の審判を受けたときは，代理権は消滅する。誤り。 (3004D) 《代理権の消滅》　【代理人】が保佐開始の審判を受けたとき，代理権は［消滅しない］（民法111条1項）。 (3004D) 《代理権の消滅》 ※←　代理権は，次に掲げる事由によって消滅する（民法111条1項）。 ①　本人の死亡 ②　代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと (S0405C) 《代理権の消滅事由》　代理人が保佐開始の審判を受けた場合，【代理権】は［消滅しない］（民法111条1項）。
オ	代理人が相手方と売買契約を締結した後，その代理人が制限行為能力者であったことが判明した場合であっても，本人は当該売買契約を行為能力の制限によって取り消すことができない。正しい。 (3004E) 《行為能力》　代理人が相手方と売買契約を締結した後，その【代理人】が制限行為能力者であったことが判明した場合でも，本人は当該売買契約を行為能力の制限によって取り消すことができない（民法102条）。 (3004E) 《行為能力》 ※←　代理人は，意志能力を必要とするが，行為能力を要しない。 ※←　制限行為能力者が代理人としてした行為は，行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし，制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については，この限りでない（民法102条）。 ※←　（最判昭平）。
	１　アイ　　　　　２　アオ　　　　　３×イエ　　　　　４　ウエ　　　　　５　ウオ