民法

◎	先取特権の順位に関する次のアからオまでの各記述のうち，誤っているものを組み合わせたものは，後記１から５までのうちどれか。 (2913) 【先取特権の順位】条文問題　すべて条文の文言から解ける。 **
ア	共益の費用の先取特権は，全ての特別の先取特権に優先する。誤り。 (2913A) 《共益の費用》　共益の費用の先取特権は，〔その利益を受けた〕全ての特別の先取特権に優先する（民法329条2項）。 (2913A) 《共益の費用》 ※←　一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には，特別の先取特権は，一般の先取特権に優先する。ただし，共益の費用の先取特権は，その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する（民法329条2項）。 ※←　共益の費用の先取特権は，一般先取特権(306条１号）である。したがって特別の先取特権に劣後するのが原則である。　もっとも，共益の費用の先取特権は，その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する。
イ	農地の天然果実については，農業労務の先取特権が不動産賃貸の先取特権に優先する。正しい。 (2913B) 《農業労務》　農地の天然果実については，農業労務の先取特権が不動産賃貸の先取特権に優先する（民法330条3項）。 (2913B) 《農業労務》 ※←　果実に関しては，第１の順位は農業の労務に従事する者に，第２の順位は種苗又は肥料の供給者に，第３の順位は土地の賃貸人に属する（民法330条3項）。
ウ	工事を始める前にその費用の予算額を登記した不動産工事の先取特権は，その登記に先立って設定登記がされている抵当権に優先する。正しい。 (2913C) 《不動産工事》　工事を始める前にその費用の予算額を登記した不動産工事の先取特権は，その登記に先立って設定登記がされている抵当権に優先する（民法339条）。 (2913C) 《不動産工事》 ※←　前2条の規定に従って登記をした先取特権は，抵当権に先立って行使することができる（民法339条）。
エ	同一の不動産について不動産保存の先取特権と不動産工事の先取特権が競合する場合，その優先権の順位は同一となる。誤り。 (2913D) 《保存と工事》　同一の不動産について不動産保存の先取特権と不動産工事の先取特権が競合する場合，その優先権の順位は［保存→工事：×同一］となる（民法331条1項）。 (2913D) 《保存と工事》 ※←　同一の不動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には，その優先権の順位は，第325条各号に掲げる順序に従う（民法331条1項）。 ※←　民法325条は，１号不動産の保存，２号不動産の工事，３号不動産の売買の順で不動産について特別の先取特権を定めている。　よって，不動産の保存の先取特権は不動産の工事の先取特権に優先する。
オ	同一の目的物について同一順位の先取特権者が数人あるときは，各先取特権者は，その債権額の割合に応じて弁済を受ける。正しい。 (2913E) 《同一順位》　同一の目的物について同一順位の先取特権者が数人あるときは，各先取特権者は，その債権額の割合に応じて弁済を受ける（民法332条）。 (2913E) 《同一順位》 ※←　同一の目的物について同一順位の先取特権者が数人あるときは，各先取特権者は，その債権額の割合に応じて弁済を受ける（民法332条）。
	１　アウ　　　　　２×アエ　　　　　３　イエ　　　　　４　イオ　　　　　５　ウオ