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(2803A) 《日用品》
※←　成年被後見人の法律行為は，取り消すことができる。ただし，日用品の購入その他日常生活に関する行為については，この限りでない（民法9条但）。
※←　成年被後見人ＡがＢから日用品を購入した本件では取消権者たる成年後見人Ｃは当該日用品の売買契約を取り消すことができない(120条１項参照）。かかる結論は成年被後見人の法律行為の相手方が，成年被後見人であることにつき善意か否かによって結論は変わらない。

(2803B) 《》
※←　意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に未成年者又は成年被後見人であったときは，その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし，その法定代理人がその意思表示を知った後は，この限りでない（民法98条の2但）。
※←　同条は意思表示の受領能力を定めているところ，未成年者及び成年被後見人については意思表示の受領能力を認めておらず，その法定代理人がその意思表示を知るまで意思表示は効力を生じない（98条の２但書）。

(2803C) 《発信後の能力喪失》
※←　隔地者に対する意思表示は，表意者が通知を発した後に死亡し，又は行為能力を喪失したときであっても，そのためにその効力を妨げられない（民法97条2項）。
※←　第97条第2項の規定は，申込者が反対の意思を表示した場合又はその相手方が申込者の死亡若しくは行為能力の喪失の事実を知っていた場合には，適用しない（民法525条）。
※←　97条2項は，表意者が発信後到達前に死亡，又は行為能力を喪失しても，効力は妨げられない旨を規定する。もっとも，申込みについては525条が例外を定める。そのため，申込者であるＡは通知を発した後，行為能力を喪失しているところ，通知を受けたＢはかかる事実を知っている。

(2803D) 《発信後の能力喪失》
※←　隔地者に対する意思表示は，表意者が通知を発した後に死亡し，又は行為能力を喪失したときであっても，そのためにその効力を妨げられない（民法97条2項）。
※←　本件は申込みではないため525条の適用もない。そのため，Ａが解除の通知を発した後，行為能力を喪失し、Ｂがかかる事実を知っていたとしても，解除の効力は生じる。

(2803E) 《発信後の能力喪失》
※←　隔地者間の契約は，承諾の通知を発した時に成立する（民法526条1項）。
※←　526条１項は承諾について発信主義を採ることを定めており，到達主義(97条１項)の例外を定める。そして，承諾については意思表示を発信したときに効力が生じるのであるから意思表示が相手方に到達する前に，表意者が行為能力を喪失しても，意思表示の効果に影響はない。