**

**

**

(2809A) 《過失の主張立証責任》
※←　占有者が占有物について行使する権利は，適法に有するものと推定する（民法188条）。
※←　188条により即時取得の取引行為の前主が動産について有する権利が適法であると推定される結果，即時取得を主張する者が前主が権利者であることを知らないことにつき無過失であることが推定される。そのため，過失の主張立証責任は即時取得を主張されるものが負う。

(2809B) 《半信半疑》
※←　取引行為によって，平穏に，かつ，公然と動産の占有を始めた者は，善意であり，かつ，過失がないときは，即時にその動産について行使する権利を取得する（民法192条）。
※←　即時取得の制度趣旨は動産の占有に公信力を与え，動産取引の安全を図ることにある。そのため，「善意」とは「動産の占有を始めた者において，取引の相手方がその動産につき無権利者ではないと誤信し」たことである（最判昭26.11.27）。よって，権利者であることにつき半信半疑であることは含まない。

(2809C) 《占有改定》
※←　占有改定は即時取得の要件たる引渡しに含まれない（大判昭9.11.20， 最判昭32.12.27， 最判昭35.2.11）。　占有改定は従来の占有事実の状態に何ら変更を与えるものではないから，このような場合に現実的占有をしていない買主等に即時取得を認めることは一般取引の安全を害し，動産取引の安全を図る192条の趣旨にかえって反する。

(2809D) 《取引行為》
※←　即時取得の要件の１つに「取引行為」により占有を取得したことがある。　なぜなら，即時取得の趣旨が動産取引の安全にあるから。

(2809E) 《登録自動車》
※←　道路運送車両法による登録を受けている自動車については，登録が所有権の得喪並びに抵当権の得喪及び変更の公示方法とされているのであるから（同法５条１項，自抵５条１項），192条の適用はない（最判昭62.4.24）。