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(2818A) 《不作為義務》
※←1 債務者が任意に債務の履行をしないときは，債権者は，その強制履行を裁判所に請求することができる。ただし，債務の性質がこれを許さないときは，この限りでない。
2 債務の性質が強制履行を許さない場合において，その債務が作為を目的とするときは，債権者は，債務者の費用で第三者にこれをさせることを裁判所に請求することができる。ただし，法律行為を目的とする債務については，裁判をもって債務者の意思表示に代えることができる。
3 不作為を目的とする債務については，債務者の費用で，債務者がした行為の結果を除去し，又は将来のため適当な処分をすることを裁判所に請求することができる。
4 前3項の規定は，損害賠償の請求を妨げない（民法414条）。
※←　債権者において，債務者がその不作為義務に違反するおそれがあることを証明すれば足り，債務者が現にその不作為義務に違反していることまで立証する必要はない（最決平17.12.9）。　間接強制は，一定の金銭支払いを命じて義務履行を確保するものであり，不作為義務にいたっては義務違反に至った段階で履行の欸保が困難になる以上，高度の蓋然性の立証までを求めてしまうと，絵にかいた餅になってしまう。

(2818B) 《謝罪広告》
※←　代替執行の手続きによって強制執行しても，加害者の倫理的な意思，良心の自由を侵害するものではない、として【代替執行】を認めている（最判昭31.7.4）。これは，新聞紙への陳謝の意を表明することを強制することは「良心の自由」（憲19条）に反するかが問題となったが，最高裁大法廷は上記のように憲法19条に反しないとした。

(2818C) 《不作為債務》
※←　不作為を目的とする債務については，債務者の費用で，債務者がした行為の結果を除去し，又は将来のため適当な処分をすることを裁判所に請求することができる（民法414条3項）。
※←　414条3項前段は不作為債務について債務者の費用で債務者がした行為の結果を除去できるとしている。また，将来のため適当な処分をすることを裁判所に請求できることも後段で定めている。

(2818D) 《代替執行》
※←　代替執行により行うことができる債務についても間接強制ができる(民執173条1項, 171条1項)。　どちらによるかは債権者の申し立てにより決まる。　債務者の人権尊重の観点から直接強制・代替執行が行えない場合にはじめて間接強制が許される説もあるが（間接強制劣後説），平成15年改正はそのような考えを採らず，間接執行の範囲を拡大した（民執173条など）。

(2818E) 《意思表示の擬制》
※←　意思表示をすべきことを債務者に命ずる判決その他の裁判が確定し，又は和解，認諾，調停若しくは労働審判に係る債務名義が成立したときは，債務者は，その確定又は成立の時に意思表示をしたものとみなす。ただし，債務者の意思表示が，債権者の証明すべき事実の到来に係るときは第27条第1項の規定により執行文が付与された時に，反対給付との引換え又は債務の履行その他の債務者の証明すべき事実のないことに係るときは次項又は第3項の規定により執行文が付与された時に意思表示をしたものとみなす（民執法174条1項）。
※←　たしかに民事執行法172条で間接強制をとることはできる。　しかし，債権の性質上，意思表示をした場合と同一の効果を民事執行法174条で得られれば十分であり，必ずしも意思表示の実行を強いる必要はない。