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(2806A) 《相手方の未登記》
※←　土地所有権に基づいて土地上の建物の収去を求める請求の訴訟物は所有権に基づく返還請求権であると考えるのが通説である。そして，要件事実は，�@土地の所有権を有していること，�A上地上に建物が存在していること，�B相手方が建物を所有していることである。
※←　�Bについては相手方が建物所有権の移転登記を具備している必要はなく，実体法上所有権を有していれば足りる。

(2806B) 《登記名義人》
※←　ＡはＣに対し甲土地所有権に基づいて甲土地上の乙建物の収去と甲土地の明渡しを求めている。そのため，要件事実は，�@土地の所有権を有していること，�A土地上に建物が存在していること，�B相手方が建物を所有していることである。本件において，乙建物の所有権はＣからＤに移転しており，�Bを充足しないため請求は認められないように思える（建物所有権喪失の抗弁）。
※←　原則として所有権に基づく土地明渡請求により建物の収去を求める際は，その相手方は建物所有者であるとし、例外として、他人の土地上の建物の所有権を取得した者が自らの意思に基づいて所有権取得の登記を経由した場合には，たとい建物を他に譲渡したとしても，引き続き右登記名義を保有する限り，土地所有者に対し，右譲渡による建物所有権の喪失を主張して建物収去・土地明渡しの義務を免れることはできない（最判平6.2.8）。

(2806C) 《賃貸不動産の譲受人》
※←　（民法177条）。　甲土地の所有権をＡから譲り受けたＣが，Ａから甲土地を賃借しているＢに対し登記なく甲土地の明渡し請求をすることができるか問題となる。Ｂが177条の「第三者」に当たるか否かによる。判例（大連判明41.12.15）は「登記欠缺ヲ主張スル正当ノ利益ヲ有スル者」を指称するとし，制限説を採ることを明らかにしている。
※←　賃貸不動産の譲受人がその賃借人に対し所有権取得を主張し明渡しを求める場合には，登記を要する（大判昭6.3.31）。そのため，不動産の賃借人は第三者に当たる。

(2806D) 《崩落防止措置の請求》
※←　債権又は所有権以外の財産権は，20年間行使しないときは，消滅する（民法167条2項）。
※←　崩落防止措置は法的には所有権に基づく妨害予防請求権である。そこで，所有権に基づく物権的請求が消滅時効の対象となる所有権以外の財産権（167条２項）に当たるか問題となる。
※←　167条は所有権について消滅時効にかからないとする。そのため，所有権に基づく物権的請求は消滅時効の対象となる「所有権以外の財産権」に当たらない（判例・通説）。