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(2826A) 《解除の将来効》
※←　賃貸借の解除をした場合には，その解除は，将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合において，当事者の一方に過失があったときは，その者に対する損害賠償の請求を妨げない（民法620条）。
※←　第620条の規定は，委任について準用する（民法652条）。
※←　債務不履行を理由として委任が解除された場合にも652条は適用される。委任契約も継続的契約関係であり，遡及効のある解除を認めると既に経過した期間についても原状回復の義務を生じることになり，いたずらに法律関係を複雑にするから。

(2826B) 《諾成契約》
※←　委任は，当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し，相手方がこれを承諾することによって，その効力を生ずる（民法643条）。
※←　委任契約は諾成契約であり，方式を必要としない。したがって，書面でしなくても契約の効力は生ずる(643条）。　なお，要式契約としては保証契約が，要式行為としては遺言などがあげられる。

(2826C) 《代弁済請求権と相殺》
※←　受任者は，委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは，委任者に対し，自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において，その債務が弁済期にないときは，委任者に対し，相当の担保を供させることができる（民法650条2項）。
※←　委任者は代弁済請求権(650条２項前段）を受動債権として委任者に対して有する債権を受動債権として相殺することはできない（最判昭47.12.22）。
※←　代弁済請求権は受任者が委任者に対して金銭給付を請求する権利ではなく「同種の目的」とはいえず，また委任者は，受任者に対し何らの経済的負担をかけ，損失を被らせることのないようにする義務を負っているから。

(2826D) 《当事者の死亡》
※←　委任は，次に掲げる事由によって終了する（民法653条1号）。
�@ 委任者又は受任者の死亡
�A 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
�B 受任者が後見開始の審判を受けたこと。
※←　これは委任契約が委託信任関係に基づくものだからである。　なお，同条は任意規定であって，委任者の死後も委任を継続する趣旨で契約が締結された場合，契約は終了しない。

(2826E) 《報酬》
※←＝　受任者は，特約がなければ，委任者に対して報酬を請求することができない（民法648条1項）。
※←　委任契約は，無償・片務契約であることが原則とされる(648条1項）。　これはローマ法以来の沿革的理由，すなわちローマでは委任が聖職者・教師・医師・弁護士といった，いわゆる高級労働を行う自由人の名誉職とされていたことに由来する。