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(2914A) 複数の質権《》
※←　同一の動産について数個の質権が設定されたときは，その質権の順位は，設定の前後による（民法355条）。
※←　重複して譲渡担保を設定すること自体は許されるとしても，劣後する譲渡担保に独自の私的実行の権限を認めた場合，配当の手続が整備されている民事執行法上の執行手続が行われる場合と異なり，先行する譲渡担保権者には優先権を行使する機会が与えられず，その譲渡担保は有名無実のものとなりかねない。このような結果を招来する後順位譲渡担保権者による私的実行を認めることはできない（最判平18.7.20）。

(2914B) 《占有改定》
※←　質権者は，質権設定者に，自己に代わって質物の占有をさせることができない（民法345条）。
※←　　民法344条，民法345条の趣旨は，質権のせ設定を要物契約とすることで，質権の公示すること，及び，留置的効力の実効性を確保することにある。したがって344条にいう引き渡しには占有改定(183条）は含まれない。
※←　（最判昭30.6.2）は「売渡担保契約がなされ債務者が引き続き担保物件を占有している場合には，債務者は占有の改定により爾後債権者のために占有するものであり，従って債権者はこれによって占有権を取得するものである（最判昭30.6.2）。
※←　占有改定の方法による動産の引き渡しによっても譲渡担保権者は第三者に譲渡担保権を対抗できる。

(2914C) 《弁済期》
※←　前項の債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したときは，質権者は，第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。この場合において，質権は，その供託金について存在する（民法366条3項）。
※←　被担保債権の弁済期が到来していないときには，質権者は，第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。

(2914D) 《証書の交付》
※←　債権であってこれを譲り渡すにはその証書を交付することを要するものを質権の目的とするときは，質権の設定は，その証書を交付することによって，その効力を生ずる（旧民法363条）。

(2914E) 《返還請求》
※←　（民法条項）。
※←　正当な権原なく目的物件を占有する者がある場合には，特段の事情のない限り，設定者は，前記のような譲渡担保の趣旨及び効力に鑑み，右占有者に対してその返還を請求することができる（最判昭57.9.28）。