公法25年

◎

　建築基準法第６条第１項の定める建築確認及び同法第９条第１項の定める違反是正命令に関し，次のアからエまでの各記述について，それぞれ正しい場合には１を，誤っている場合には２を選びなさい。

ア

　建築主事は，建築主と建築に反対する近隣住民とが一定期間協議することを停止条件として建築確認を行うことができる。

イ

　建築確認を受けて建築された建築物について，特定行政庁は，建築確認が取り消され又は無効である場合でなくても，建築物が建築基準法令の規定に違反することを理由に，違反是正命令を行うことができる。

ウ

　建築確認を受けて建築された建築物について，近隣住民は，建築確認の取消訴訟又は無効確認訴訟を併合提起しなくても，違反是正命令の義務付け訴訟を適法に提起することができる。

エ

　建築確認を受けずに建築を行っても，当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していれば，建築基準法第９９条第１項第１号の定める刑罰を科されない。

　正　解　　　２　　１　　１　　２

（参照条文）建築基準法
第６条建築主は，（中略）建築物を建築しようとする場合（中略）においては，当該工事に着手する前に，その計画が建築基準関係規定（この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定（以下「建築基準法令の規定」という。）その他建築物の敷地，構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。）に適合するものであることについて，確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け，確認済証の交付を受けなければならない。（以下略）
２～１３（略）
１４第１項の確認済証の交付を受けた後でなければ，同項の建築物の建築（中略）の工事は，することができない。
１５（略）
第９条特定行政庁は，建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については，当該建築物の建築主（中略）に対して，当該工事の施工の停止を命じ，又は，相当の猶予期限を付けて，当該建築物の除却，移転，改築，増築，修繕，模様替，使用禁止，使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
２～１５（略）
第９９条次の各号のいずれかに該当する者は，１年以下の懲役又は１００万円以下の罰金に処する。
一第６条第１項（中略）の規定に違反した者
二～十三（略）
２（略）

◎	建築基準法第６条第１項の定める建築確認及び同法第９条第１項の定める違反是正命令に関し，次のアからエまでの各記述について，それぞれ正しい場合には１を，誤っている場合には２を選びなさい。 (2522) 【】　* ** 　* ** 　*
ア	建築主事は，建築主と建築に反対する近隣住民とが一定期間協議することを停止条件として建築確認を行うことができる。誤り。 (2522A) 《》　建築主事は，建築主と建築に反対する近隣住民とが一定期間協議することを停止条件として建築確認を行うことができる。 (2522A) 《》 ※←　（憲法条）。附款として行政行為に条件を付すことは認められる。一般的に附款は，本体たる行政行為に裁量が認められれば，その範囲で付すことができる(櫻井・橋本・行政法108頁)。建築基準法６条１項においては建築基準関係規定に適合している場合には建築主事は建築確認をしなければならず，裁量の余地はないため，近隣住民との協議を停止条件とするような附款を付すことはできない。
イ	建築確認を受けて建築された建築物について，特定行政庁は，建築確認が取り消され又は無効である場合でなくても，建築物が建築基準法令の規定に違反することを理由に，違反是正命令を行うことができる。正しい。 (2522B) 《》　建築確認を受けて建築された建築物について，特定行政庁は，建築確認が取り消され又は無効である場合でなくても，建築物が建築基準法令の規定に違反することを理由に，違反是正命令を行うことができる。 (2522B) 《》 ※←　（憲法条）。「違反是正命令は，…建築物及び敷地が建築確認に係る計画通りのものであるかどうかを基準とするものではない上，違反是正命令を発するかどうかは，特定行政庁の裁量にゆだねられているから，建築確認の存在は…違反是正命令を発する上において法的障害となるものではな」いから（最判昭59・10・26百選n 183事件），建築確認の取消訴訟を事前に得ておく必要はない。
ウ	建築確認を受けて建築された建築物について，近隣住民は，建築確認の取消訴訟又は無効確認訴訟を併合提起しなくても，違反是正命令の義務付け訴訟を適法に提起することができる。正しい。 (2522C) 《》　建築確認を受けて建築された建築物について，近隣住民は，建築確認の取消訴訟又は無効確認訴訟を併合提起しなくても，違反是正命令の義務付け訴訟を適法に提起することができる。 (2522C) 《》 ※←　（憲法条）。取消訴訟又は無効確認訴訟の併合提起が必要なのは申請拒否処分が先行する申請型義務付け訴訟（行訴３条６項２号）である（37条の３第３項２号）。違反是正命令の義務付け訴訟は申請を前提としない直接型義務付け訴訟（３条６項１号）であるから，他の訴訟を併合する必要はない（37条の２参照）。
エ	建築確認を受けずに建築を行っても，当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していれば，建築基準法第９９条第１項第１号の定める刑罰を科されない。誤り。 (2522D) 《》　建築確認を受けずに建築を行っても，当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していれば，建築基準法第９９条第１項第１号の定める刑罰を科されない。 (2522D) 《》 ※←　（憲法条）。建築基準法99条１項１号は６条１項の規定に違反した者に刑罰を科すとしている。そして６条１項は，建築主事の確認を受け，確認済証の交付を受けなければならないとしており，建築確認を義務化している。したがって，建築基準関係規定に適合していようがいまいが建築確認を受けていなければ，当該義務を果たしておらず，６条１項に違反するといえ，99条１項１号により刑罰を科されることになる。
	正　解　　　２　　１　　１　　２
	（参照条文）建築基準法第６条建築主は，（中略）建築物を建築しようとする場合（中略）においては，当該工事に着手する前に，その計画が建築基準関係規定（この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定（以下「建築基準法令の規定」という。）その他建築物の敷地，構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。）に適合するものであることについて，確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け，確認済証の交付を受けなければならない。（以下略）２～１３（略）１４第１項の確認済証の交付を受けた後でなければ，同項の建築物の建築（中略）の工事は，することができない。１５（略）第９条特定行政庁は，建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については，当該建築物の建築主（中略）に対して，当該工事の施工の停止を命じ，又は，相当の猶予期限を付けて，当該建築物の除却，移転，改築，増築，修繕，模様替，使用禁止，使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。２～１５（略）第９９条次の各号のいずれかに該当する者は，１年以下の懲役又は１００万円以下の罰金に処する。一第６条第１項（中略）の規定に違反した者二～十三（略）２（略）