公法

◎

　衆議院の優越に関する次のアからウまでの各記述について，それぞれ正しい場合には１を，誤っている場合には２を選びなさい。

ア

　衆議院と参議院を比較すると，衆議院の方が議員の任期が短く，また解散により必要な場合には民意を問える地位にある点で，相対的に見て，その時々の民意をより反映しているといえることが衆議院優越の根拠であると解される。

イ

　衆議院が可決した法律案を参議院が可決しなかった場合には，衆議院が出席議員の３分の２以上の多数で再び可決して法律として成立させることができるが，衆議院の再議決の前には両院協議会を開くことが憲法上求められている。

ウ

　憲法は条約について，内閣が締結権を有するとしながらも，国会による承認を経ることを求めている。その際には，案件を先に衆議院に提出しなければならず，また議決についても，法律案の場合よりも衆議院の強い優越性が認められている。

　正　解　　　１　　２　　２

◎	衆議院の優越に関する次のアからウまでの各記述について，それぞれ正しい場合には１を，誤っている場合には２を選びなさい。 (2415) 【衆議院の優越】　* ** 　* ** 　*
ア	衆議院と参議院を比較すると，衆議院の方が議員の任期が短く，また解散により必要な場合には民意を問える地位にある点で，相対的に見て，その時々の民意をより反映しているといえることが衆議院優越の根拠であると解される。正しい。 (2415A) 《民意の反映》　衆議院と参議院を比較すると，衆議院の方が議員の任期が短く，また解散により必要な場合には民意を問える地位にある点で，相対的に見て，その時々の民意をより反映しているといえることが衆議院優越の根拠であると解される。 (2415A) 《民意の反映》 ※←　（憲法条）。議員の任期，解散制度等から見て，衆議院の方が参議院よりもより民意に密着した会議体であり，民主政治に資することが衆議院の優越の根拠の１つといえる。このように　衆議院の方が,民意を問える地位にある点で，相対的に見て，その時々の民意をより反映しているといえる。
イ	衆議院が可決した法律案を参議院が可決しなかった場合には，衆議院が出席議員の３分の２以上の多数で再び可決して法律として成立させることができるが，衆議院の再議決の前には両院協議会を開くことが憲法上求められている。誤り。 (2415B) 《両院協議会》　衆議院が可決した法律案を参議院が可決しなかった場合には，衆議院が出席議員の３分の２以上の多数で再び可決して法律として成立させることができるが，衆議院の再議決の前には両院協議会を［開くか否かは任意的であり，強制されていない：×開くことが憲法上求められている］。 (2415B) 《両院協議会》 ※←　（憲法条）。憲法59条２項は「衆議院で可決し，参議院でこれと異なった議決をした法律案は，衆議院で出席議員の３分の２以上の多数で再び可決したときは，法律となる」と規定し，また同条３項では「前項の規定は，法律の定めるところにより，衆議院が，両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない］と規定する。このように両院協議会を開くか否かは任意的であり，強制されていない。
ウ	憲法は条約について，内閣が締結権を有するとしながらも，国会による承認を経ることを求めている。その際には，案件を先に衆議院に提出しなければならず，また議決についても，法律案の場合よりも衆議院の強い優越性が認められている。誤り。 (2415C) 《条約の承認》　憲法は条約について，内閣が締結権を有するとしながらも，国会による承認を経ることを求めている。その際には，案件を先に衆議院に［提出する必要はないが］，議決については，法律案の場合よりも衆議院の強い優越性が認められている（憲法61条）。 (2415C) 《条約の承認》 ※←　条約の締結に必要な国会の承認については，前条第２項の規定を準用する（憲法61条）。 ※←　条約を締結するには国会の事前ないし事後の承認が必要である（憲法73条３号但書）。そして，憲法61条では「条約の締結に必要な国会の承認については，前条第２項の規定を準用する」と規定されている。このように61条は予算の議決に関する60条２項についてのみ準用し，先議権に関する60条１項を準用していないので，条約の案件についての先議権は衆議院に認められていない。
	正　解　　　１　　２　　２