公法

◎

　憲法第31条に関する次のアからウまでの各記述について，ａの見解からｂの見解が導き出せる場合には１を，導き出せない場合には２を選びなさい。

ア

　ａ．憲法第31条は，文字どおり，刑罰を科する場合には，法律で定める手続によらなければならないという要求のみを規定したものである。
ｂ．条例は地方公共団体が制定する自主立法であるから，刑罰を科する場合の手続を条例で定めることも許される。

イ

　ａ．憲法第31条は，刑罰を科する場合の手続が法律で定められなければならないということと，手続が適正なものでなければならないということを規定したものである。
ｂ．憲法第31条は，罪刑法定主義を定めた規定ではなく，その根拠は憲法の別の条文に求めなければならない。

ウ

　ａ．憲法第31条は，刑罰を科する場合の手続の法定とその適正のみならず，実体の法定とその適正をも要求する規定である。
ｂ．処罰の必要性及び合理性，罪刑の均衡を要求する根拠は，憲法第31条に求められる。

　正解　　　２　　１　　１

◎	憲法第31条に関する次のアからウまでの各記述について，ａの見解からｂの見解が導き出せる場合には１を，導き出せない場合には２を選びなさい。 (2312) 【適正手続】　* ** 　* ** 　*
ア	ａ．憲法第31条は，文字どおり，刑罰を科する場合には，法律で定める手続によらなければならないという要求のみを規定したものである。ｂ．条例は地方公共団体が制定する自主立法であるから，刑罰を科する場合の手続を条例で定めることも許される。誤り。 (2312A) 《科刑手続の法定》　憲法第31条は，文字どおり，刑罰を科する場合には，法律で定める手続によらなければならないという要求のみを規定したものであるとの見解によれば，条例は地方公共団体が制定する自主立法であるが，刑罰を科する場合の手続を条例で定めることは［許されない］。 (2312A) 《科刑手続の法定》 ※←　（憲法条）。ａの見解は，憲法31条が科刑手続の法定を要求していると解する見解である。 31条を文字どおり解釈するこの見解によれば，「法律」とは国会によって制定される形式的意味の法律を指し，政令や条例を含まない。したがって，ａの見解からは，条例によって科刑手続を定めることは許されないことになる。
イ	ａ．憲法第31条は，刑罰を科する場合の手続が法律で定められなければならないということと，手続が適正なものでなければならないということを規定したものである。ｂ．憲法第31条は，罪刑法定主義を定めた規定ではなく，その根拠は憲法の別の条文に求めなければならない。正しい。 (2312B) 《罪刑法定主義》　憲法第31条は，刑罰を科する場合の手続が法律で定められなければならないということと，手続が適正なものでなければならないということを規定したものであるとの見解によれば，憲法第31条は，罪刑法定主義を定めた規定ではなく，その根拠は憲法の別の条文に求めなければならない。 (2312B) 《罪刑法定主義》 ※←　（憲法条）。ａの見解は，憲法31条が手続の法定と手続の適正のみを保障したものであると解する見解である。罪刑法定主義とは刑罰の実体を法律で定めることを要求する原理であるところ，31条が手続の法定と適正のみを保障したものであるという見解からは，罪刑法定主義の根拠は別の条文に求めなければならないことになる。　なお，31条が実体の法定を保障していないと考える立場の中には，罪刑法定主義の根拠を41条に求める見解や，罪刑法定主義は黙示的に規定されていると説明する見解などがある。
ウ	ａ．憲法第31条は，刑罰を科する場合の手続の法定とその適正のみならず，実体の法定とその適正をも要求する規定である。ｂ．処罰の必要性及び合理性，罪刑の均衡を要求する根拠は，憲法第31条に求められる。正しい。 (2312C) 《刑罰の謙抑主義》　憲法第31条は，刑罰を科する場合の手続の法定とその適正のみならず，実体の法定とその適正をも要求する規定であるとの見解によれば，処罰の必要性及び合理性，罪刑の均衡を要求する根拠は，憲法第31条に求められる。 (2312C) 《刑罰の謙抑主義》 ※←　（憲法条）。ａの見解は，憲法31条が科刑手続・実体要件双方の法定のみならず，その内容の適正をも保障しているものと解する見解である。処罰の必要性及び合理性があること（刑罰の謙抑主義）及び罪刑の均衡は実体の適正の内容として挙げられるものであり，ａの見解からは31条を根拠に導かれることになる。
	正解　　　２　　１　　１