憲法第25条が保障する生存権の裁判規範性に関するプログラム規定説によれば，憲法第25条は政治的・道義的義務を国に課したものにとどまり，個々の国民に対して具体的権利を保障したものではない。

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(2210A) 《政治的・道義的義務》
※←　（憲法条）。プログラム規定説は，憲法25条は国民の生存を確保すぺき政治的・道義的義務を国に課したにとどまり，個々の国民に対して具体的権利を保障したものではないと主張する。これに対し，生存権の内容が抽象的で一義的に明確なものとはいえないとしても，現に25条の文言が「権利を有する」と規定している以上，25条が単に国民の生存を確保すべき政治的・道義的義務を国に課したものと解すべきではないとする批判が可能となる。

(2210B) 《社会権的側面》
※←　（憲法条）。生存権の社会権的側面の法的性格についてプログラム規定説に立ったとしても，直接25系列捐処に川本的請求権を主張できないだけで，生存権の自由権的側面の存在を認めることはできる。生存権の法的性質について，プログラム規定説・抽象的権利説・具体的権利説の争いがあるのは，生存権の社会権的側面に関するものである。

(2210C) 《国の財政政策》
※←　（憲法条）。プログラム規定説は，その論拠として，権利の具体的な実施に必要な予算が国の財政政策等の問題として政府の裁量等に委ねられていることを挙げる。

(2210D) 《権利の具体的内容》
※←　（憲法条）。プログラム規定説は，その論拠として，権利の具体的内容とその実現方法が明確でないことを挙げる。これに対し，「健康で文化的な最低限度の生活」の具体的内容を一般的に決定することはできないが，特定の国における特定の時点においては一応客観的に決定することができると批判することが可能である。
　なお，判例（東京地判昭35.10.19,朝日訴訟第一審判決）は，「健康で文化的な生活水準」の具体的な内容は固定的なものではないが，理論的には特定の国における特定の時点においては一応客観的に決定しうるから，厚生大臣（当時）の生活保護基準の設定行為は裁判的統制に服する覊朿行為だとし，生活水準を維持する程度の保,波に欠ける場合は，生活保護法３条・８条２項に違反すると同時に，実質的には憲法25条にもJ乂すると判示した。