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(2115A) 《自律的解散》
※←　（憲法条）。憲法７条で挙げられた国事行為はもともと形式的・儀礼的行為であるから，同条により内閣の衆議院解散権を根拠付けることはできないという説によれば，その根拠は７条以外の他の条項に求めなければならないことになる。 69条を根拠として，衆議院で内閣の不信任決議が可決された場合にのみ内閣に解散権を認めるという説と，権力分立制・議院内閣制を採用している憲法の全体的な構造に根拠を求め，不信任決議とかかわりなく内閣に自由な解散権を認める説とかあるが，いずれも，解散権を内閣に認めており，解散を衆議院が自律的に決定した場合に限定していないことは明らかである。また，衆議院による自律的解故については，多数者の意思によって少数者の議員たる地位が剥奪されることになることを理由に，これを否定する見解が一般的である。

(2115B) 《国民の判断》
※←　（憲法条）。内閣が衆議院解散を決定できるのは69条所定の場合に限るという説によれば，内閣が衆議院を解散することができるのは，衆議院で内閣の不信任決議が可決された場合にのみに限られることとなり，新たな政治問題が生じた場合に国民の判断を求めるべく解散をすることはできないことになる。

(2115C) 《議院内閣制》
※←　（憲法条）。権力分立制・議院内閣制を採用している憲法の全体的な構造に根拠を求め，内閣に自由な解散権を認める説に対しては，その根拠とする権力分立制・議院内閣制がそれほど一義的な原則ではないので，そこから内閣の自由な解散権を導き出すことは困難であるという批判がなされている。

(2115D) 《苫米地事件》
※←　（憲法条）。現在の実務は，内閣の自由な衆議院解散権を７条で根拠付けており，それが慣習法化したとみることもできる。与党内の反主流派対策として内閣が７条を根拠として抜き打ちに行った解散につき，野党の衆議院議員から無効を主張する訴訟が提起された事案につき，判例（最大判昭35.6.8）は，統治行為論を採用して判断を避けており，上記解釈が妥当か否かについて判断を示していない。