公法

◎

　憲法改正の限界については，理論上限界があるという立場（限界説）と限界がないという立場（無限界説）があるが，次のアからエまでの各記述のうち，限界説からの記述二つの組合せを，後記１から６までの中から選びなさい。

ア

　憲法制定時の規範・価値によって将来の世代を拘束するのは不当である。

イ

　憲法の妥当性の根拠は，基本的人権の保障を含む根本規範である。

ウ

　憲法規範には実定化された自然法規範が含まれており，それは実定化されても自然法規範としての性質を失わない。

エ

　憲法規範中に価値序列や階層性を認めることはできない。

　１　アとイ　　　　２　アとウ　　　　３　アとエ　　　　４○イとウ　　　　５　イとエ　　　　６　ウとエ　　　

◎	憲法改正の限界については，理論上限界があるという立場（限界説）と限界がないという立場（無限界説）があるが，次のアからエまでの各記述のうち，限界説からの記述二つの組合せを，後記１から６までの中から選びなさい。 (2020) 【憲法改正の限界】　憲法改正の限界については，理論上限界があるという立場（限界説）と限界がないという立場（無限界説）がある。　憲法改正の限界の有無をめぐっては，限界説と無限界説の対立がある。限界説は，大別して，①憲法制定権力と改正権とを峻別し，改正権は自己の根拠となるところの，憲法制定権力の主体やその定めた基本原理を変改する法的能力をもちえないとするもの，②一種の自然法の存在を肯認してそれにかかわる規定の改正は不可とするもの，とに分かれる。他方，無限界説は，大別して，①改正権と憲法制定権力とを同一視しかつ制定権力の全能性を根拠とするもの，②憲法典中の規定はすべて同一の形式的効力を有しており，憲法が改正を認める以上，改正可能なものと不可能なものとの区別はありえないとするもの，③法は元来人間の社会生活に奉仕する手段であり，かつ社会は変転してやまないものであるから，法もそれにつれて変わるべきものであって，憲法改正に限界ありとするのは法の本質に反するとするもの，に分かれる。　*
ア	憲法制定時の規範・価値によって将来の世代を拘束するのは不当である。誤り（無限界説）。 (2020A) 《将来の世代の拘束》　無限界説は，（法は社会変化に応じて変化すべきであり），憲法制定時の規範・価値によって将来の世代を拘束するのは不当であると主張する。 (2020A) 《将来の世代の拘束》 ※←　（憲法条）。無限界説の③に関する記述である。③法は元来人間の社会生活に奉仕する手段であり，かつ社会は変転してやまないものであるから，法もそれにつれて変わるべきものであって，憲法改正に限界ありとするのは法の本質に反するとする。
イ	憲法の妥当性の根拠は，基本的人権の保障を含む根本規範である。限界説。 (2020B) 《根本規範》　限界説は，憲法の妥当性の根拠は，基本的人権の保障を含む根本規範であると主張する。 (2020B) 《根本規範》 ※←　（憲法条）。限界説の①に関する記述である。①憲法制定権力と改正権とを峻別し，改正権は自己の根拠となるところの，憲法制定権力の主体やその定めた基本原理を変改する法的能力をもちえないとする。
ウ	憲法規範には実定化された自然法規範が含まれており，それは実定化されても自然法規範としての性質を失わない。限界説。 (2020C) 《自然法規範》　限界説は，憲法規範には実定化された自然法規範が含まれており，それは実定化されても自然法規範としての性質を失わないと主張する。 (2020C) 《自然法規範》 ※←　（憲法条）。限界説の②に関する記述である。②一種の自然法の存在を肯認してそれにかかわる規定の改正は不可とする。
エ	憲法規範中に価値序列や階層性を認めることはできない。誤り（無限界説）。 (2020D) 《価値序列》　無限界説は（もとの憲法の基本原理を変更することも認めているので），憲法規範中に価値序列や階層性を認めることはできないと主張する。 (2020D) 《価値序列》 ※←　（憲法条）。無限界説の②に関する記述である。②憲法典中の規定はすべて同一の形式的効力を有しており，憲法が改正を認める以上，改正可能なものと不可能なものとの区別はありえないとする。
	１　アとイ　　　　２　アとウ　　　　３　アとエ　　　　４○イとウ　　　　５　イとエ　　　　６　ウとエ