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(1916A) 《行政機関による裁判》
※←　（憲法条）。行政機関による終審裁判の禁止を定める憲法76条２項後段の規定からは，逆に前審としてならば，行政機関による裁判も認められるという解釈が導き出される。したがって，行政機関が行政処分についての審査請求や異議申立てに対して裁決ないし決定を下すことは許される。しかしながら，法律上の争訟を裁判する権限には，事実認定も含まれると解されているので裁判所かそこで認定された事実に絶対的に拘束される旨定めることは，憲法32条及び76条２項に反することになり，許されないと解される。

(1916B) 《弁護士の資格》
※←　（憲法条）。77条１項は，最高裁判所が［弁護士に関する事項］についても規則で定める権限を有すると規定しているが，弁護士の資格要件等の基本的事項は，国民主権国家においては，国民の代表機関である国会が法律で定めるべきだと解され，実際にも弁護士法が制定されている。規則で定め得るのは，弁護士が訴訟に関係した場合の関連事項に限定されており，弁護士の資格・職務・身分について最高裁判所規則で定めることができるわけではない。

(1916C) 《罷免》
※←　（憲法条）。78条前段は，「裁判官は，裁判により，心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては，公の弾劾によらなければ罷免されない］と定めており，最高裁判所の裁判官も，分限裁判により，心身の故障のため職務を執ることができないと決定された場合には，罷免することが許される（裁判官分限法§１，§３−�V）。

(1916D) 《裁判官の定年》
※←　（憲法条）。裁判官の定年は，79条５項，80条１項により，法律で定められることになっているが，法律で定年年齢を低下させ，新定年をそのときに在職するすべての裁判官に適用し，その年齢に達している裁判官をすべて退官させることは，裁判官の身分保障を定める78条の趣旨に反するものとして許されない。なぜなら，在職中の裁判官の定年年齢を自由に変え得るということになれば，国会は一般的な制度の改正に託けて特定の裁判官を退官させることができることとなり，司法権の独立を著しく損なうことになるからである。