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(1812A) 《欠けたとき》
※←　（憲法70条）。内閣総理大臣が「欠けたとき」とは，例えば，死亡，失踪，亡命等の他，国会議員となる資格の喪失など，総理大臣がその地位を失う場合をいう。総理大臣の病気や一時的な生死不明は，「欠けたとき」ではなく，「事故のあるとき」（内閣法§９）にあたり，臨時代理が置かれるに過ぎない。

(1812B) 《指揮監督》
※←　（憲法条）。ロッキード事件（丸紅ルート）において，判例（最判平7.2.22)は，「内閣総理大臣は，憲法上，行政権を行使する内閣の首長として（§66),国務大臣の任免権（§68），内閣を代表して行政各部を指揮監督する職務権限（§72）を有するなど，内閣を統率し，行政各部を統轄調整する地位にあるものである」とした上で，「内閣総理大臣が行政各部に対し指揮監督権を行使するためには，閣議にかけて決定した方針が存在することを要するが，閣議にかけて決定した方針が存在しない場合においても，内閣総理大臣の右のような地位及び権限に照らすと，流動的で多様な行政需要に遅滞なく対応するため，内閣総理大臣は，少なくとも，内閣の明示の意思に反しない限り，行政各部に対し，随時，その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導，助言等の指示を与える権限を有するものと解するのが相当である」と判示している。

(1812C) 《全員一致》
※←　（憲法68条2項）。閣議決定は，慣例上全員一致で行われるが，一部の大臣が閣議決定に参加せず，あぐまでもその決定に反対であったような場合，内閣総理大臣は，当該大臣を罷免すれば済むことである（§68-�U)。なお，内閣が総辞職しなければならないのは，�@衆議院で内閣不信任決議案を可決し，又は信任の決議案を否決後10日以内に衆議院が解散されなかった場合（§69),�A内閣総理大臣が欠けたとき，又は�B衆議院議員総選挙後に初めて国会の招集があったとき（§70）に限られる。

(1812D) 《内閣の権能》
※←　（憲法72条）。内閣総理大臣は，「内閣を代表して議案を国会に提出し，一般国務及び外交関係について国会に報告」することを職務とするが（§72),「国務を総理すること」は内閣の権能である（§73�@）。