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　判例（最判昭55.11.25 ・ 行政百選n Nal79)は，「福井県警察本部長は，昭和48年12月17日被上告大に対し自動車運転免許の効力を30日間停止する旨の処分（以下「本件原処分」という。）をしたが，同日免許の効力停止期間を29日短縮した，被上告大は，本件原処分の日から満１年間，無違反・無処分で経過した，というのである。右事実によると本件原処分の効果は右処分の日１日の期間の経過によりなくなったものであり，また，本件原処分の日から１年を経過した日の翌日以降，被上告大が本件原処分を理由に道路交通法上不利益を受ける虞がなくなったことはもとより，他に本件原処分を理由に被上告大を不利益に取り扱いうることを認めた法令の規定はないから，行政事件訴訟法９条の規定の適用上，被上告大は，本件原処分及び本件裁決の取消によって回復すべき法律上の利益を有しないというべきである。この点に関して，原審は，被上告大には，本件原処分の記載のある免許証を所持することにより警察官に本件原処分の存した事実を覚知され，名誉，感情，信用等を損なう可能性が常時継続して存在するとし，その排除は法の保護に値する被上告人の利益であると解して本件裁決取消の訴を適法とした。　しかしながら，このような可能性の存在が認められるとしても，それは本件原処分がもたらす事実上の効果にすぎないものであり，これをもって被上告大が本件裁決取消の訴によって回復すべき法律上の利益を有することの根拠とするのは相当でない］と判示している。*

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(1934A) 《》
※←　（憲法条）。免許停止処分の期間が満了して免許停止の効果が失われても，処分期間満了後１年間無違反・無処分で経過するまでは，前歴のある者として扱われ，公安委口会が行う行政処分に際し前歴のない者よりも不利益に取り扱われるおそれがなお残存する以ll，処分の収消しを求める訴えの利益は失われないものと解される。

(1934B) 《》
※←　（憲法条）。運転免許取消処分の取消訴訟係属中に運転免許証の有効期間が経過したとしても，後に取消訴訟が認容され運転免許取消しの効力が失われれば，運転免許の更新を受けることができることから，処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。

(1934C) 《》
※←　（憲法条）。運転免許効力停止処分の法的効果が失われても，処分があったという事実により名誉・信用等の人格的利益が損なわれている場合，かかる利益の回復のために処分の取消しを求める利益が認められるかについては争いあるところ，前掲判例は，かかる利益侵害は事実上のものに過ぎないとして，否定した。