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(1911A) 《全体の奉仕者》
※←　（憲法条）。初期の判例は，政令201号事件判決（最大判昭28.4.8)において，憲法13条の「公共の福祉」と15条の「全体の奉仕者」を根拠に，公務員の労働基本権の一律禁止を合憲としていた。

(1911B) 《全逓東京中郵事件》
※←　（憲法条）。判例（最大判昭41.10.26 ）は，公務員の労働基本権を原則的に承認する立場を明らかにし，労働基本権の制限は職務の性質が公共性の強いものについて，必要最小限度のものにとどめなければならない旨判断しており，比較衡量論に基づき，その制限が著しく合理性を欠き，立法府の裁量を明らかに逸脱しているか否かにより合憲性を判断するアプローチを採用したわけではない。

(1911C) 《合憲限定解釈》
※←　（憲法条）。全逓東京中郵事件判決の趣旨は，地方公務員法に関する都教組事件判決（最大判昭44.42・憲法百選HN0.152）及び国家公務員法に関する全司法仙台事件判決（最大判昭44.4.2)に承継され，あおり罪の合憲限定解釈が行われた。

(1911D) 《争議行為の一律禁止》
※←　（憲法条）。全農林警職法事件判決（最大判昭48.4.25 ・ 憲法百選11 Nal53)は，全逓東京中郵事件判決でなく全司法仙台事件最高裁判決を変更した。本判決は憲法28条の労働基本権の保障が公務員にも及ぶことを認めながら，13条の「公共の福祉」による制約を肯定し，争議行為のー律禁止を合憲とする理由を，�@憲法第15条の示すとおり公務員の使用者は国民全体であり，公務員の争議行為はその地位の特殊性及び職務の公共性に反し，勤労者を含めた国民全体の共同利益に重大な影響を及ぼすか又はそのおそれがあること，�A公務員の勤務条件の決定は，国会の制定する法律と予算によってなされるのであるから，公務員の争議行為は憲法の基本原則である議会制民主主義（憲法§41，§83等）に反し，国会の議決権を侵すおそれがあること，�B公務員にはロックアウトや市場の抑制力のような争議行為の歯止めがないこと，�C人事院をはじめ整備された代償措置が設けられていることの４点に求めている。