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(2017A) 《行政裁判》
※←　（憲法条）。明治治憲法下では，「司法権」はもっぱら民事・刑事の裁判権に限定され，行政事件の裁判は，通常裁判所とは別系統の行政裁判所の所管とされていた。これに対し，日本国憲法では，英米流の司法権を採用したこと，憲法81条で司法権に行政処分の違憲審査権が与えられていることから違法の決定権も当然与えられているものと解されること，76条２項が特別裁判所の設置を禁止し，行政機関による終審裁判を禁止していることなどから，行政事件の裁判も含めて，すべての裁判作用を「司法権」とし，通常裁判所に属するとされている。

(2017B) 《客観的法規範》
※←　（憲法条）。76条３項は，裁判官は［この憲法及び法律にのみ拘束される］と規定している。「憲法及び法律」という場合の「法律」とは，形式的意味の法律に限られず，政令，規則，条例、慣習法などを含めて，およそ客観的法規範の意味に解されている。

(2017C) 《司法権独立の原則》
※←　（憲法条）。司法権独立の原則の一内容として，司法権が立法権及び行政権から独立して自主的に活動することがあるところ（広義の司法権の独立), 77条の最高裁判所の規則制定権，78条の行政機関による裁判官の懲戒処分の禁止，80条の最高裁判所による下級裁判所裁判官の指名など，司法部の自主性を確保する諸制度が，独立の強化に仕え，これを側面から担保する。

(2017D) 《違憲立法審査権》
※←　（憲法条）。判例（最判昭27.10.8）は，「最高裁判所は法律命令等に関し違憲審査権を有するが，この権限は司法権の範囲内において行使されるものであり，この点においては最高裁判所と下級裁判所との間に異なるところはないのである（憲法§76− I）」と判示している。したがって，違憲審査権が司法権の機能の一環としてとらえられる以上，たとえ憲法第81条がなくとも，最高裁判所に違憲審査権を認める余地がある。