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(2117A) 《公権力の支配》
※←　（憲法条）。憲法89条後段にいう「公の支配」とは，国又は地方公共団体がその事業の根本的な方向に重大な影響を及ぼ凵尋るような権力を有することをいうと解する見解は，同条後段の趣旨を，私的な事業への不当な公権力の支配が及ぶことを防止する点にあると解し，自主性確保の見地より「公の支配」を厳格に解する立場である。そのため，私立学校法59条，私立学校振興助成法12条で定められた程度の微温的・名目的な監督が及ぶにすぎない私学助成は，「公の支配」に属するとはいえず違憲の疑いがあることになる。もっとも，憲法の条項を忠実に文理解釈したものと考えられており，89条後段と矛盾するわけではない。

(2117B) 《要件の緩和》
※←　（憲法条）。「公の支配」を緩やかに解する見解は，教育基本法や学校教育法によって法的な支配を受けている私立学校は「公の支配」に属するものであると考え，私学助成の合憲を導くものである。これに対しては，「公の支配」を厳格に解する見解から，単に日本の社会の現実の要請から非論理的に私学助成の合憲を導くものであり，目的論的解釈の枠を超えるとの批判がなされている。また，「公の支配」を緩やかに解した場合，ほとんどの事業が「公の支配」に属することとなるので，このような解釈は89条後段を空文化してしまうとの批判が妥当し得る。

(2117C) 《体系的解釈》
※←　（憲法条）。［公の支配］の解釈にあたって，憲法14条，23条，25条，26条など他の条項との体系的・総合的解釈を行う見解は，私立学校法及び私立学校振興助成法による隍|可の程度をもって，「公の支配」の要件を満たし，私学助成を合憲と解するものである。これに対しては，「公の支配」を厳格に解する見解から，単に日本の社会の現実の要請から非論理的に私学助成の合憲を導くものであり，目的論的解釈の枠を超えるとの批判がなされている。そのため，その上うな解釈によっては学校法人への助成を正当化することにはならないとの批判が妥当し得るといえる。