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(2120A) 《条約優位説》
※←　（憲法条）。条約は純粋な国内法規範とは異なり国際法的な法規範でもあるため，条約が違憲審査の対象となるかを考えるにあたっては，まず憲法と条約の優劣関係が問題となる。この点については憲法優位説と条約優位説の対立があるが，条約優位説に立つ場合には，憲法は条約の下位規範であるから，条約の違憲審査ということは論理的に意味がないことになり，条約は違憲審査の対象とはならないということになる。

(2120B) 《憲法優位説》
※←　（憲法条）。憲法と条約の関係について憲法優位説を採る場合，条約は国際法ではあるものの，国内では国内法として通用するのであるから，この側面については憲法81条の厂法律」に準ずるものとして違憲審査の対象となると解することが可能である。他方，憲法優位説を採る場合でも，条約は憲法81条の列挙事項から外されていること，条約は国家間の合意という特質をもち，しかもきわめて政治的な内容を含むという点を考慮して，条約は違憲審査の対象とならないと解することも可能である。

(2120C) 《高度の政治性》
※←　（憲法条）。日米安保条約の違憲性が争われた砂川事件において，判例（最大判昭34.12.16)は，当該条約が高度の政治性を有することを理由に憲法判断を差し控えており，単に対象が条約であるということのみをもって憲法判断を差し控えているのではないから，条約一般についてはむしろ違憲審査の対象となり得るという論理的前提に立っているものとみることもできる。

(2120D) 《国際法的な効力》
※←　（憲法条）。条約法に関するウィーン条約によれば，当事国は条約締結権能を定めた国内法に明白に違反して条約が締結された場合（§46）を除き，国内法の規定を理由として条約の履行を怠ることはできない（§27）。そのため，条約が違憲審査の対象となるとする見解に立ち，条約が違憲と判断されたとしても，当該条約は国内法的に無効となるのみで，その国際法的な効力は失われない。