公法

◎	幸福追求権の内容については，「公共の福祉に反しない限り一般的に自由を拘束されないという一般的自由権をその内容とする。」という一般的行為自由説に対し，「個人の人格的生存に不可欠な利益を内容とする権利の総体である。」という人格的利益説がある。これら二つの見解に関する次のアからウまでの各記述について，正しいものには○，誤っているものには×を付した場合の組合せを，後記１から８までの中から選びなさい。 (2401) 【幸福追求権の内容】　幸福追求権の内容については，「公共の福祉に反しない限り一般的に自由を拘束されないという一般的自由権をその内容とする。」という一般的行為自由説に対し，「個人の人格的生存に不可欠な利益を内容とする権利の総体である。」という人格的利益説がある。一般的行為自由説　* 人格的利益説　*
ア	裁判所が「新しい人権」を明確な基準なしに憲法上の権利として承認することになると，裁判所の主観的な判断によって権利が創設されるおそれがある。その点，人格的利益説は，「新しい人権」の承認について種々の要素を考慮して慎重に決定することを求める見解といえる。正しい。 (2401A) 《主観的な判断》　裁判所が「新しい人権」を明確な基準なしに憲法上の権利として承認することになると，裁判所の主観的な判断によって権利が創設されるおそれがある。その点，【人格的利益説】は，「新しい人権」の承認について種々の要素を考慮して慎重に決定することを求める見解といえる。 (2401A) 《人格的利益説》 ※←　（憲法条）。人格的利益説は，幸福追求権が個別的基本権を包括する基本権とする点では一般的行為自由説と同様であるが，その内容があらゆる生活領域に関する自由ではなく，個人の人格的生存に不可欠な利益に限定する点で一般的行君自由説と異なる。そうすると，人格的利益説からは，「新しい人権」が個人の人格的生存に不可欠な利益か否かを判断しなければならず，その際には社会の状況等の要素を考慮して個人の人格的生存に不可欠な利益か否かを判断する必要があるといえる。
イ	一般的行為自由説は，公権力による制約に対して人権保障の範囲を広げる見解であるのに対し，人格的利益説は，不可欠性という厳しい要件の下で人権保障の範囲を決するので，人権保障の範囲が狭くなりすぎるおそれがある。正しい。 (2401B) 《不可欠性》　【一般的行為自由説】は，公権力による制約に対して人権保障の範囲を広げる見解であるのに対し，【人格的利益説】は，不可欠性という厳しい要件の下で人権保障の範囲を決するので，人権保障の範囲が狭くなりすぎるおそれがある。 (2401B) 《不可欠性》 ※←　（憲法条）。一般的行為自由説では，その内容があらゆる生活領域に関する自由とするため，当然その権利の輻が広くなるので，公権力による制約に対して人権保障の範囲を広げる見解といえる。これに対して，人格的利益説は，その内容を個人の人格的生存に不可欠な利益に限定するため，個人の人格的生存に不可欠な利益といえなければ人権として保障されないので，人権保障の範囲が狭くなりすぎるおそれがあるといえる。
ウ	一般的行為自由説は，公共の福祉に反しない範囲で人権を認め，更にこれに対する公共の福祉による制約を認めるので，かえって人権保障を弱めるおそれがあるが，人格的利益説は，人権の範囲を絞った上で公共の福祉による制約を否定するので，結局人権保障に資する。誤り。 (2401C) 《公共の福祉》　【一般的行為自由説】は，公共の福祉に反しない範囲で人権を認め，更にこれに対する公共の福祉による制約を認めるので，かえって人権保障を弱めるおそれがあるが，【人格的利益説】も，人権の範囲を絞った上で公共の福祉による制約を［肯定］するので，結局人権保障に資する［とは言えない］。 (2401C) 《公共の福祉》 ※←　（憲法条）。人格的利益説によっても，保障された人権について当然に「公共の福祉」による制限を受けるのは条文上明らかである。
	１　ア○ イ○ ウ○ 　　　２○ア○ イ○ ウ× 　　　３　ア○ イ× ウ○　　　４　ア○ イ× ウ× 　　　５　ア× イ○ ウ○ 　　　６　ア× イ○ ウ×　　　７　ア× イ× ウ○ 　　　８　ア× イ× ウ×

平24

１

平23