公法26年

◎

　国土交通大臣は，道路占用許可（以下「許可」という。）について，道路法及び同法第３３条第１項に基づく政令の定めよりも具体的に許可の基準を示す通知（以下「本件通知」という。）を策定した。そして，本件通知を，道路管理者として許可を行う権限を有する各地方整備局長，各都道府県知事，及びその他の行政庁に発出した。各地方整備局は，国土交通省に置かれる行政機関（地方支分部局）である。許可の基準を定める政令及び本件通知に関する次のアからエまでの各記述について，それぞれ正しい場合には１を，誤っている場合には２を選びなさい。

ア

　仮に，許可の基準を政令で定める旨の，道路法第３３条第１項におけるような明文の規定が法律になければ，許可の基準を政令で定めることは認められない。

イ

　各地方整備局長は，本件通知の内容を，許可に係る行政手続法上の審査基準として公にすることができる。

ウ

　私人が各地方整備局長に対し，本件通知に具体的に定められていない事情を理由に許可を求めることは，平等原則及び信義則に反し認められない。

エ

　本件通知は，その内容が道路法に違反していなければ，下級行政庁である各都道府県知事に対する通達として，各都道府県知事を拘束する。

　正　解　　　１　　１　　２　　２　

（参照条文）道路法
第３２条道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物，物件又は施設を設け，継続して道路を使用しようとする場合においては，道路管理者の許可を受けなければならない。
一～七（略）
２～５（略）
第３３条道路管理者は，道路の占用が前条第１項各号のいずれかに該当するものであつて道路の敷地外に余地がないためにやむを得ないものであり，かつ，（中略）政令で定める基準に適合する場合に限り，同条第１項（中略）の許可を与えることができる。
２（略）

◎	国土交通大臣は，道路占用許可（以下「許可」という。）について，道路法及び同法第３３条第１項に基づく政令の定めよりも具体的に許可の基準を示す通知（以下「本件通知」という。）を策定した。そして，本件通知を，道路管理者として許可を行う権限を有する各地方整備局長，各都道府県知事，及びその他の行政庁に発出した。各地方整備局は，国土交通省に置かれる行政機関（地方支分部局）である。許可の基準を定める政令及び本件通知に関する次のアからエまでの各記述について，それぞれ正しい場合には１を，誤っている場合には２を選びなさい。 (2621) 【】　* ** 　* ** 　*
ア	仮に，許可の基準を政令で定める旨の，道路法第３３条第１項におけるような明文の規定が法律になければ，許可の基準を政令で定めることは認められない。正しい。 (2621A) 《》　仮に，許可の基準を政令で定める旨の，道路法第３３条第１項におけるような明文の規定が法律になければ，許可の基準を政令で定めることは認められない。 (2621A) 《》 ※←　（憲法条）。許可の基準それ自体は，許可を受ける，受けないに関わるものであり，国民の権利義務に関わるものである。国民の権利義務に関わる以上，法規命令のうちの委任命令として，法律の根拠を要することになり，明文規定が法律になければ，許可の基準を政令で定めることは認められない。
イ	各地方整備局長は，本件通知の内容を，許可に係る行政手続法上の審査基準として公にすることができる。正しい。 (2621B) 《》　各地方整備局長は，本件通知の内容を，許可に係る行政手続法上の審査基準として公にすることができる。 (2621B) 《》 ※←　（憲法条）。行政手続法５条。審査基準は定めることが義務とされ（同１項），公にしておかなければならない（同３項）。そして，審査基準はできる限り具体的なものとしなければならないから（同２項），政令の定めよりも具体的に許可の基準を示す通知の内容を，公にすることは，許される。
ウ	私人が各地方整備局長に対し，本件通知に具体的に定められていない事情を理由に許可を求めることは，平等原則及び信義則に反し認められない。誤り。 (2621C) 《》　私人が各地方整備局長に対し，本件通知に具体的に定められていない事情を理由に許可を求めることは，平等原則及び信義則に反し認められない。 (2621C) 《》 ※←　（憲法条）。本件通知は解釈基準である。解釈基準は国民を拘束するものではなく，一般的に行政規則と理解されている。したがって，私人が本件通知に定められていない事情を理由に許可を求めることは許される。
エ	本件通知は，その内容が道路法に違反していなければ，下級行政庁である各都道府県知事に対する通達として，各都道府県知事を拘束する。誤り。 (2621D) 《》　本件通知は，その内容が道路法に違反していなければ，下級行政庁である各都道府県知事に対する通達として，各都道府県知事を拘束する。 (2621D) 《》 ※←　（憲法条）。通達は上級行政機関の下級行政機関に対する訓令としての性格を持つから，下級行政機関は上級行政機関の示した通達に原則として拘束されることになる。もっとも，通達が法令に違反していても，通達に従って行動している限りは，当該職員は職務義務違反を問われることはない。したがって，本件通知の内容が道路法に違反していても，内部的拘束力は発生する場合があるといえる。
	正　解　　　１　　１　　２　　２
	（参照条文）道路法第３２条道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物，物件又は施設を設け，継続して道路を使用しようとする場合においては，道路管理者の許可を受けなければならない。一～七（略）２～５（略）第３３条道路管理者は，道路の占用が前条第１項各号のいずれかに該当するものであつて道路の敷地外に余地がないためにやむを得ないものであり，かつ，（中略）政令で定める基準に適合する場合に限り，同条第１項（中略）の許可を与えることができる。２（略）