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(L0207A) 《転得者》
※←　不動産に関する物権の得喪及び変更は，不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ，第三者に対抗することができない（民法177条）。
※←　所有者甲から乙が不動産を買い受け、その登記が未了の間に、甲から丙が当該不動産を二重に買い受け、更に丙から転得者丁が買い受けて登記を完了した場合に、丙が背信的悪意者に当たるとしても、丁は、乙に対する関係で丁自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもって乙に対抗することができる（最判平8.10.29）。
(L3010D) 《転得者》
　ＡがＡ所有の甲土地をＢに売却した後，ＣがＢを害する目的で甲土地をＡから買い受け，その旨の所有権移転登記がされた場合に，Ｃが事情を知らないＤに対して甲土地を売却し，その旨の所有権移転登記がされたとき，Ｂは，Ｄに対し，甲土地の所有権の取得を主張することが［できない］（民法177条）（最判平8.10.29）。

(L0207B) 《取消後の第三者》
※←　前2項の規定による詐欺による意思表示の取消しは，善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない（民法96条3項）。
※←　民法96条3項は、取消前の第三者をいう（大判昭17.9.30）。

(L0207C) 《解除前の第三者》
※←　当事者の一方がその解除権を行使したときは，各当事者は，その相手方を原状に復させる義務を負う。　ただし，第三者の権利を害することはできない（民法545条1項但）。
※←　甲乙間になされた甲所有不動産の売買が契約の時に遡つて合意解除された場合、すでに乙からこれを買い受けていたが、未だ所有権移転登記を得ていなかつた丙は、右合意解除が信義則に反する等特段の事情がないかぎり、乙に代位して、甲に対し所有権移転登記を請求することはできない（最判昭33.6.14）。

(L0207D) 《時効完成前の第三者》
※←　20年間，所有の意思をもって，平穏に，かつ，公然と他人の物を占有した者は，その所有権を取得する（民法162条1項）。
※←　不動産の取得時効完成前に原所有者から所有権を取得し時効完成後に移転登記を経由した者に対し、時効取得者は、登記なくして所有権を対抗することができる（最判昭42.7.21）。
※←　不動産の時効取得者は、取得時効の進行中に原権利者から当該不動産の譲渡を受けその旨の移転登記を経由した者に対しては、登記がなくても、時効による所有権の取得を主張することができる（最判昭41.11.22）。
(S2608E) 《時効完成前の第三者》
　ＣがＡから甲土地を買い受けた後に当該取得時効が完成し，その後に甲土地についてＡからＣへの所有権の移転の登記がされた場合，Ｂは，Ｃに対し，時効により甲土地の所有権を取得したことを主張することが［できる］（民法162条）（最判昭41.11.22）。
(R0407B) 《時効の完成前》
　Ａの所有する甲土地を時効により取得したＢは，その時効の完成前にＡから甲土地を購入してその旨の登記をしたＣに対し，甲土地の所有権を主張することが［できる］（民法162条）（最判昭41.11.22）。

(L0207E) 《遺産分割》
※←　第三者に対する関係では、相続人が相続により、いったん取得した権利につき、分割時に新たな変更を生ずるものと実質的に異ならないから。
※←　遺産の分割は，相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし，第三者の権利を害することはできない（民法909条）。
※←　相続財産中の不動産につき、遺産分割により権利を取得した相続人は、登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、法定相続分をこえる権利の取得を対抗することができない（最判昭46.1.26）。
(S2822B) 《遺産分割》
　被相続人Ａが死亡した後，Ｂ及びＣは，遺産分割協議において，ＢがＡの遺産である甲土地の所有権を取得することに合意した。その後，Ｃは，Ｄに対し，甲土地の２分の１の持分を売却し，その旨の所有権の移転の登記をした。この場合に　Ｂは，Ｄに対し，登記なくして甲土地全部の所有権の取得を対抗することが［できない］（民法909条但）（最判昭46.1.26）。