民法

◎	先取特権に関する次のアからオまでの各記述のうち，誤っているものを組み合わせたものは，後記１から５までのうちどれか。 (2514) 【先取特権】 **
ア	不動産売買の先取特権について登記があるときは，その先取特権者は，登記の先後を問わず，抵当権に先立って先取特権を行使することができる。誤り。 (2514A) 《登記の先後》　不動産［保存と工事：×売買］の先取特権について登記があるときは，その先取特権者は，登記の先後を問わず，抵当権に先立って【先取特権】を行使することができる（民法339条）。 (2514A) 《登記の先後》 ※←　前2条の規定に従って登記をした先取特権は，抵当権に先立って行使することができる（民法339条）。 ※←　不動産売買の先取特権については，民法339条の適用がないので，原則に戻り，抵当権設定登記の前でなければ，抵当権に先立って行使することはできない(177条）。
イ	動産売買の先取特権の目的物が転売され，第三者に引き渡されたときは，先取特権者は，その動産について先取特権を行使することができない。正しい。 (2514B) 《第三取得者》　動産売買の先取特権の目的物が転売され，第三者に引き渡されたときは，先取特権者は，その動産について《先取特権》を行使することができない（民法333条）。 (2514B) 《第三取得者》 ※←　先取特権は，債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は，その動産について行使することができない（民法333条）。
ウ	雇用関係の先取特権は，給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する。正しい。 (2514C) 《雇用関係の先取特権》　【雇用関係の先取特権】は，給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する（民法308条）。 (2514C) 《雇用関係の先取特権》 ※←　雇用関係の先取特権は，給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する（民法308条）。
エ	一般の先取特権者は，不動産について登記をしなくても，不動産売買の先取特権について登記をした者に優先して当該不動産から弁済を受けることができる。誤り。 (2514D) 《一般の先取特権》　【一般の先取特権者】は，不動産について登記をしなくても，［特別担保を有しない債権者：×不動産売買の先取特権について登記をした者］に優先して当該不動産から弁済を受けることができる（民法336条但）。 (2514D) 《一般の先取特権》 ※←　一般の先取特権は，不動産について登記をしなくても，特別担保を有しない債権者に対抗することができる。ただし，登記をした第三者に対しては，この限りでない（民法336条但）。
オ	判例によれば，日用品供給の先取特権の債務者は，自然人に限られ，法人は含まれない。正しい。 (2514E) 《法人》　【日用品供給の先取特権】の債務者は，自然人に限られ，法人は含まれない（民法310条）（最判昭46.10.21）。 (2514E) 《法人》 ※←　日用品の供給の先取特権は，債務者又はその扶養すべき同居の親族及びその家事使用人の生活に必要な最後の６箇月間の飲食料品，燃料及び電気の供給について存在する（民法310条）。 ※←　310条の飲食品および薪炭油の供給者に対し一般先取特権を与えることによって，多くの債務を負っている者あるいは資力の乏しい者に日常生活上必要不可欠な飮食品および薪炭油の入手を可能ならしめ，もってその生活を保護しようとすることにあると解される。かかる法意ならびに同法310条の文言に照らせば，同条の債務者は，自然人に隕られ，法人は右債務者に含まれないと解するのが相当である（最判昭46.10.21）。
	１　アイ　　　２×アエ　　　３　イウ　　　４　ウオ　　　５　エオ