民法

◎	後見人に関する次のアからオまでの各記述のうち，正しいものを組み合わせたものは，後記１から５までのうちどれか。 (2533) 【後見人】 **
ア	未成年者Ａに対し最後に親権を行う者が遺言で未成年者ＢをＡの未成年後見人に指定した場合，Ｂは未成年であってもＡの未成年後見人となる。誤り。 (2533A) 《未成年者》　未成年者Ａに対し最後に親権を行う者が遺言で未成年者ＢをＡの【未成年後見人】に指定した場合，Ｂは未成年であればＡの《未成年後見人》［とはならない］（民法847条1号）。 (2533A) 《未成年者》 ※←　次に掲げる者は，後見人となることができない。 ① 未成年者（民法847条1号）。 ※←　未成年者に対して最後に親権を行う者は，遺言で，未成年後見人を指定することができる(民839条)。もっとも，かかる場合であっても，未成年者は後見人の欠格事由に該当する(民847条１号)のであるから，かかる者を未成年後見人と指定することはできない。
イ	成年後見人が選任されている場合においても，家庭裁判所は，必要があると認めるときは，請求により又は職権で，更に成年後見人を選任することができる。正しい。 (2533B) 《追加的選任》　成年後見人が選任されている場合においても，家庭裁判所は，必要があると認めるときは，請求により又は職権で，更に【成年後見人】を選任することができる（民法843法条3項）。 (2533B) 《選任》 ※←　成年後見人が選任されている場合においても，家庭裁判所は，必要があると認めるときは，前項に規定する者若しくは成年後見人の請求により又は職権で，更に成年後見人を選任することができる（民法843法条3項）。
ウ	成年後見人は，正当な事由があるときは，家庭裁判所の許可を得ずにその任務を辞することができる。誤り。 (2533C) 《辞任》　【成年後見人】は，正当な事由があるとき，家庭裁判所の許可を［得て］その任務を辞することができる（民法844条）。 (2533C) 《辞任》 ※←　後見人は，正当な事由があるときは，家庭裁判所の許可を得て，その任務を辞することができる（民法844条）。 ※←　後見人制度は，要保護者に対する支援を行う制度として社会的公益的性格を有する。そのため，安易に職務放棄をすることはできず，正当な事由，及び家庭裁判所の許可を求めている。
エ	未成年後見人は，未成年被後見人の財産を管理し，かつ，その財産に関する法律行為について未成年被後見人を代表するが，未成年被後見人の行為を目的とする債務を生ずべき場合には，未成年被後見人の同意を得なければならない。正しい。 (2533D) 《未成年被後見人の同意》　【未成年後見人】は，未成年被後見人の財産を管理し，かつ，その財産に関する法律行為について未成年被後見人を代表するが，未成年被後見人の行為を目的とする債務を生ずべき場合には，未成年被後見人の同意を得なければならない（民法859条2項）。 (2533D) 《未成年被後見人の同意》 ※←　1 後見人は，被後見人の財産を管理し，かつ，その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。 2 第824条ただし書の規定は，前項の場合について準用する（民法859条2項）。 ※←　親権者の財産の管理及び代表に関して，民法824条但書は，その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には本人の同意が必要であるとしている。そして，かかる規定は，後見人の場合に準用されている（民859条2項）。
オ	成年後見人の配偶者は成年後見監督人となることはできないが，成年後見人の父は成年後見監督人となることができる。誤り。 (2533E) 《成年後見監督人》　成年後見人の配偶者は《成年後見監督人》となることはできない。　同様に，成年後見人の父も《成年後見監督人》となることが［できない］（民法850条）。 (2533E) 《成年後見監督人》 ※←　後見人の配偶者，直系血族及び兄弟姉妹は，後見監督人となることができない（民法850条）。 ※←　父は直系血族に当たるので欠格者となる。
	１　アエ　　　２　アオ　　　３　イウ　　　４○イエ　　　５　ウオ