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(2605A) 《無過失》
※←　無過失についてはこれらの推定規定がなく，所有権の取得を主張する者が，主張・立証する必要がある。（民法162条2項）。民法162条２項, 186条１項，２項。 10年の取得時効を援用して所有権の取得を主張する場合，民法162条２項の要件をすべて満たす必要がある。これを主張する者は，推定規定により，10年間の占有につき占有を開始した時及びその時から10年を経過した時の２つの時点の占有を主張・立証すれば足り（民186条２項），所有の意思をもって，平穏にかつ，公然と物を占有したこと，占有の開始時に善意であったことは主張・立証する必要はない（同条１項）。

(2605B) 《初日不算入の原則》
※←　日，週，月又は年によって期間を定めたときは，期間の初日は，算入しない。ただし，その期間が午前零時から始まるときは，この限りでない（民法140条）。
※←　時効期間も，その期間が午前零時から始まるときを除き，期間の初日は算入しない。

(2605C) 《所有の意思》
※←　所有の意思は，占有者の内心の意思によってではなく，占有取得の原因である権原又は占有に関する事情により外形的客観的に定められるべきものであるから…外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったものと解される事情が証明されるときは，占有者の内心の意思のいかんを問わず，その所有の意思を否定し，時効による所有権取得の主張を排斥しなければならない（最判昭58.3.24）。

(2605D) 《時効完成後の第三者》
※←　取得時効完成後の第三者に対しては，時効による所有権取得を対抗するのに登記が必要である。したがって，Ａからその所有する不動産の譲渡を受けたＢが取得時効を完成したとしても，Ｂはその登記をしなければ，その後にＡからその不動産を取得したＣに対して，時効による権利の取得を対抗することができない（大判大14.7.8）。

(2605E) 《間接占有》
※←　20年間，所有の意思をもって，平穏に，かつ，公然と他人の物を占有した者は，その所有権を取得する（民法162条1項）。民法162条１項, 181条。取得時効完成のためには，所有の意思が必要であり，直接占有か間接（代理）占有（民181条）かを問わない。本件では，他人が所有する土地を自己所有の土地として第三者に賃貸した者に所有の意思ある間接占有が認められる。したがって，第三者に20年間その土地を（直接）占有させたことで，取得時効が完成し，賃貸人はその土地の所有権を取得することができる。