民法

◎	必要費に関する次のアからオまでの各記述のうち，誤っているものを組み合わせたものは，後記１から５までのうちどれか。 (2636) 【必要費】 **
ア	義務なく他人のために事務の管理を始めた者は，本人のために有益な債務を負担した場合において，その債務が弁済期にあるときは，本人に対し，自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。正しい。 (2636A) 《事務管理》　義務なく他人のために事務の管理を始めた者は，本人のために有益な債務を負担した場合において，その債務が弁済期にあるときは，本人に対し，自己に代わってその弁済をすることを請求することができる（民法702条2項）。 (2636A) 《事務管理》 ※←　第650条第2項の規定は，管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する（民法702条2項）。
イ	占有者は，占有物について通常の必要費を支出した場合であっても，果実を取得したときには，回復者にその償還をさせることはできない。正しい。 (2636B) 《占有者》　占有者は，占有物について通常の必要費を支出した場合であっても，果実を取得したときには，回復者にその償還をさせることはできない（民法196条1項但）。 (2636B) 《占有者》 ※←　占有者が占有物を返還する場合には，その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし，占有者が果実を取得したときは，通常の必要費は，占有者の負担に帰する（民法196条1項但）。
ウ	動産質権者は，継続して占有している質物について通常の必要費を支出した場合であっても，所有者にその償還をさせることはできない。誤り。 (2636C) 《動産質権者》　動産質権者は，継続して占有している質物について通常の必要費を支出した場合，所有者にその償還をさせることが［できる］（民法350条）。 (2636C) 《動産質権者》 ※←　第296条から第300条まで及び第304条の規定は，質権について準用する（民法350条）。 ※←　民法350条は，留置権者の必要費償還請求権（民299条１項）を質権について準用している。
エ	留置権者は，留置物について通常の必要費を支出した場合には，所有者にその償還をさせることができる。正しい。 (2636D) 《留置権者》　留置権者は，留置物について通常の必要費を支出した場合には，所有者にその償還をさせることができる（民法299条1項）。 (2636D) 《留置権者》 ※←　留置権者は，留置物について必要費を支出したときは，所有者にその償還をさせることができる（民法299条1項）。
オ	抵当不動産の第三取得者は，抵当不動産について通常の必要費を支出した場合には，果実を取得したときであっても，抵当不動産の代価から，他の債権者より先にその償還を受けることができる。誤り。 (2636E) 《抵当不動産の第三取得者》　抵当不動産の第三取得者は，抵当不動産について通常の必要費を支出した場合には，果実を取得したとき，抵当不動産の代価から，他の債権者より先にその償還を受けることが［できない］（民法391条、196条1項但）。 (2636E) 《抵当不動産の第三取得者》 ※←　抵当不動産の第三取得者は，抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは，第196条の区別に従い，抵当不動産の代価から，他の債権者より先にその償還を受けることができる（民法391条）。 ※←　民法391条は，「抵当不動産の第三取得者は，抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは，第196条の区別に従い，抵当不動産の代価から，他の債権者より先にその償還を受けることができる］としている。しかし, 196条１項ただし書は「占有者が果実を取得したときは，通常の必要費は，占有者の負担に帰する」としているため，果実を取得している場合には，抵当不動産の代価から他の債権者より先にその償還を受けることができない。
	１　アエ　　　２　アオ　　　３　イウ　　　４　イエ　　　５×ウオ