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(2623A) 《代金の支払場所》
◎←　売買の目的物の引渡しと同時に代金を支払うべきときは，その引渡しの場所において支払わなければならない（民法574条）。
※←　これに該当しない場合には，持参債務の原則(484条）の通り，売主の現在の住所において支払うべきである。また，目的物の引渡しと同時に代金を支払うべき場合であっても，買主が引渡しを受けたが代金を支払わなかった場合には，買主は民法484条により売主の現在の住所において支払うべきとされる（大判昭2.12.27）。

(2623B) 《果実の取得》
※←　まだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じたときは，その果実は，売主に帰属する（民法575条1項）。
※←　売主は遅滞にあると否とを問わず，引渡しまでは民法575条１項に基づいて果実を収受できるとしている。
　もっとも，買主が代金を支払った後については，売主に代金の利用と果実の取得の二重の利得を得させるのは不均衡であるから，売主に果実の収受は認められない（大判大13.9.24）。

(2623C) 《抵当権の抹消》
※←　1 買い受けた不動産について抵当権の登記があるときは，買主は，抵当権消滅請求の手続が終わるまで，その代金の支払を拒むことができる。この場合において，売主は，買主に対し，遅滞なく抵当権消滅請求をすべき旨を請求することができる（民法577条1項）。
2 前項の規定は，買い受けた不動産について先取特権又は質権の登記がある場合について準用する（民法577条2項）。
※←　かかる規定は先取特権又は質権の登記がある場合にも準用される（民法577条2項）。

(2623D) 《現実の提供》
※←　買主が売主に手付を交付したときは，当事者の一方が契約の履行に着手するまでは，買主はその手付を放棄し，売主はその倍額を償還して，契約の解除をすることができる（民法557条1項）。
※←　民法557条１項により売主が手付けの倍額を償還して契約の解除をするためには，「手付けの『倍額ヲ償還シテ』とする同条項の文言からしても，また，買主が同条項によって手付けを放棄して契約の解除をする場合との均衡からしても，単に口頭により手付けの倍額を償還する旨を告げその受領を催告するのみでは足りず，買主に現実の提供をすることを要する（最判平6.3.22）。

(2623E) 《借地権の譲渡》
※←　賃借地上にある建物の売買契約が締結された場合においては，特別の事情のないかぎり，その売主は買主に対し建物の所有権とともにその敷地の賃借権をも譲渡したものと解すべきであり，そして，それに伴い，…特別の事情のないかぎり，建物の売主は買主に対しその敷地の賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る義務を負うものと解すべきである（最判昭47.3.9）。