民法

◎	Ａ及びＢが婚姻し，Ａの氏を称することにした場合において，その間の子Ｃが満18歳であった時にＡ及びＢが離婚したことを前提として，次の１から４までの各記述のうち，誤っているものはどれか。 (2630) 【氏の変更】　Ａ及びＢが婚姻し，Ａの氏を称することにした場合において，その間の子Ｃが満18歳であった時にＡ及びＢが離婚した。
１	Ａ及びＢの離婚に際し，Ｃの親権者と定められたＢが婚姻前の氏に復した場合に，未成年者であるＣがＢの氏を称するためには，家庭裁判所の許可を得る必要がある。正しい。 (2630A) 《親の離婚》　Ａ及びＢの離婚に際し，Ｃの親権者と定められたＢが婚姻前の氏に復した場合に，未成年者であるＣがＢの氏を称するためには，家庭裁判所の許可を得る必要がある（民法791条1項）。 (2630A) 《親の離婚》 ※←　親が離婚しても、子の氏は、当然には変わらない。 ※←　子が父又は母と氏を異にする場合には，子は，家庭裁判所の許可を得て，戸籍法の定めるところにより届け出ることによって，その父又は母の氏を称することができる（民法791条1項）。 ※←　父母の離婚により一方が復氏（民767条１項, 771条・767条１項）した場合，「子が父又は母と氏を異にする場合」(791条１項）にあたり，家庭裁判所の許可を得て，戸籍法の定めるところにより届け出ることによって，その父又は母の氏を称することができる。
２	Ａ及びＢの離婚に際し，Ｃの親権者と定められたＢが，婚姻前の氏に復したことにより，子が父又は母と氏を異にする場合に該当するとして，Ｃが法定の手続に従いＢの氏を称するに至った場合に，Ｃが成年に達した時から法定の期間内にＡの氏に復するためには，家庭裁判所の許可を得る必要はない。正しい。 (2630B) 《成年後の復氏》　Ａ及びＢの離婚に際し，Ｃの親権者と定められたＢが，婚姻前の氏に復したことにより，子が父又は母と氏を異にする場合に該当するとして，Ｃが法定の手続に従いＢの氏を称するに至った場合に，Ｃが成年に達した時から法定の期間内にＡの氏に復するためには，家庭裁判所の許可を得る必要はない（民法791条4項）。 (2630B) 《成年後の復氏》 ※←　前3項の規定により氏を改めた未成年の子は，成年に達した時から１年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって，従前の氏に復することができる（民法791条4項）。 ※←　Ｃは791条１項の規定によって氏を改めたのであるから,「成年に達した時から１年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって,従前の氏に復することができる」（民791条４項）のであり，家庭裁判所の許可を得る必要はない。
３	Ａ及びＢの離婚に際し，Ｃの親権者と定められたＢが，Ａとの離婚後にＤと婚姻し，Ｄの氏を称することとした場合，未成年者であるＣは，Ｄの養子となる縁組をしたときに限り，Ｄの氏を称することができる。誤り。 (2630C) 《子の氏の変更》　Ａ及びＢの離婚に際し，Ｃの親権者と定められたＢが，Ａとの離婚後にＤと婚姻し，Ｄの氏を称することとした場合，未成年者であるＣは，Ｄの養子となる縁組をしたときに［限らず］，Ｄの氏を称することができる（民法791条1項）。 (2630C) 《子の氏の変更》 ※←　子が父又は母と氏を異にする場合には，子は，家庭裁判所の許可を得て，戸籍法の定めるところにより届け出ることによって，その父又は母の氏を称することができる（民法791条1項）。 ※←　父または母が婚姻により氏が変動（民750条）した場合，「子が父又は母と氏を異にする場合」(791条１項）にあたり，「家庭裁判所の許可を得て，戸籍法の定めるところにより届け出ることによって，その父又は母の氏を称することができる」のであり，ＣがＤの氏を称する方法は養子縁組による氏の変動(810条本文）に限らない。
４	Ａ及びＢの離婚当時，Ｅと婚姻してＥの氏を称することとしていたＣは，その後Ｆの養子となる縁組をした場合であっても，Ｆの氏を称することはできない。正しい。 (2630D) 《養子縁組》　Ａ及びＢの離婚当時，Ｅと婚姻してＥの氏を称することとしていたＣは，その後Ｆの養子となる縁組をした場合でも，Ｆの氏を称することはできない（民法810条但）。 (2630D) 《養子縁組》 ※←　Ｃは婚姻によってＥの氏に改めているから、810条但書により，縁組による氏の変動は生じない。 ※←　養子は，養親の氏を称する。ただし，婚姻によって氏を改めた者については，婚姻の際に定めた氏を称すべき間は，この限りでない（民法810条）。
	正　解　　　　３